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世界農業遺産 みなべ・田辺の梅システム

みなべ・田辺の梅システム 世界遺産 認定

2015(平成27)年12月15日、「みなべ・田辺の梅システム」が、国際連合食糧農業機関(FAO)により世界農業遺産(GIAHS)に認定されました。

※公式ホームページへ

みなべ・田辺の梅システムとは

養分に乏しく礫質で崩れやすい斜面を利用して薪炭林を残しつつ梅林を配置し、400年にわたり高品質な梅を持続的に生産してきた農業システムです。

人々は、里山の斜面を利用し、その周辺に薪炭林を残すことで、水源涵養や崩落防止等の機能を持たせ、薪炭林に住むニホンミツバチを利用した梅の受粉、長い梅栽培の中で培われた遺伝子資源、薪炭林のウバメガシを活用した製炭など、地域の資源を有効に活用して、梅を中心とした農業を行い、生活を支えてきました。また、人々のそうした活動は、生物多様性、独特の景観、農文化を育んできました。

水源涵養とは、森林の土壌が、雨水を吸収して水源を保つとともに、河川へ流れ込む水の量を調整して洪水を防止する機能

画像:みなべ・田辺の梅システム1
画像:みなべ・田辺の梅システム

世界農業遺産(GIAHS)について

世界農業遺産(GIAHS)とは

世界農業遺産(GIAHS)は、正式には「Globally Important Agricultural Heritage Systems」といい、英語の頭文字を取って「GIAHS(ジアス)」と呼ばれています。これは、食糧の安定確保を目指す国際連合食糧農業機関(FAO、本部イタリア・ローマ)が認定するもので、平成14年(2002年)に創設されました。

世界農業遺産の目的は、地域環境を生かした伝統的な農業、農法、それに関わって育まれた文化、景観、生物多様性(微生物から昆虫、動植物など多様な生物が存在している状態)などを「農業のシステム」として一体的に維持、保全し、次の世代へ継承していくことです。これまで、世界21ヵ国58地域、日本では、「みなべ・田辺の梅システム」を含め11地域が認定されています。

ユネスコ世界遺産との違い

国際連合教育科学文化機関「UNESCO(ユネスコ)」が推進する世界遺産は、遺跡や歴史的建造物、自然など「不動産」を登録し保護することを目的としています。それに対し、世界農業遺産は、地域環境を生かし維持されてきた「農業のシステム」を認定することで保全と持続的な活用につなげていくことを目指しています。

国連食糧農業機関(FAO)が示す5つの認定基準

1. 食料及び生計の保証

  • 暮らしを支える梅産業
    (就労人口の約70%が梅生産・関連産業従事/生産、加工、観光等が連携、約700億円の梅産業)
  • 最高級炭「紀州備長炭」を生み出す製炭業
  • 水稲、野菜、柑橘など多様な農産物の生産

生物多様性及び生態系の機能

  • 薪炭林、梅林、水辺環境により保持される生物多様性
  • 梅とニホンミツバチの共生関係
  • 農業の多様性(梅栽培の多様性・梅との複合経営品目としての多様な農産物)

知識システム及び適応技術

  • 梅の多様な遺伝子と優良品種育成
  • 梅栽培の伝統技術
  • 地域で発展した梅干加工技術
  • 資源を持続的に利用する独自の薪炭林管理技術「択伐(たくばつ)」

文化・価値観及び社会組織

  • 梅に関連した祭事・行事
  • 梅の伝統的食文化
  • 梅に育まれた地域の「絆」

優れた景観及び土地と水資源管理の特徴

  • 季節により変化する梅林景観
  • 薪炭林と梅林による急崚な地形の利用
    (薪炭林の水源涵養、防災機能/梅林での草生栽培による表土の保護等)
  • 「択伐」による独特の薪炭林管理法

※みなべ・田辺地域世界農業遺産推進協議会のホームページはこちら、Facebookページはこちら

画像:みなべ・田辺の梅システム2